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企画でメシを食っていく

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2017.07.26

マキヒロチさんによる「物語の企画」レポート!


6/3(土) 第3回目は【物語の企画】

今回はゲスト講師として、
『いつかティファニーで朝食を』、
『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』などの作品を手掛ける、
漫画家のマキヒロチさんにご登壇いただきました。



幼少期から、手ごたえを感じるまで。


幼少期から漫画が大好きで、
りぼん、なかよし、ちゃお、ぴょんぴょん…
あらゆる少女漫画雑誌を読んでいたというマキさん。
ついにはお母さんとおばあちゃんに頼み、
漫画を描いてもらい月刊誌を作ってもらうまでに。
本格的に漫画を描きはじめたのは小学生の頃。
中学、高校の時には毎月のように漫画誌に投稿したり、
友人たちに同人誌を売ったりしていたそうです。
そして美大を受験するものの失敗。
美大予備校に通って来年も受験しようか迷っていたところ…


「美大に出てもやりたいことが見つからずにプラプラしてる人もいる。
もう漫画というやりたいことが見つかってるんだから、
やってみればいいんじゃない?」


そう先生に言われ、漫画家の道を進みはじめました。


そんなマキさんは、20代の半ばまで、
浅野いにおさんの作風に似た漫画を描いていたそうです。


ただ、浅野いにおさんの漫画を本屋で立ち読みしたときに、
「同じようなことを描いても彼には勝てない」と
嫉妬を越えた衝撃を受けたことがきっかけで作風を変え、
そこから自分らしい作品を作れるようになれたと言います。


手ごたえを感じたのはつい3、4年前で、
『いつかティファニーで朝食を』に重版が立て続けにかかった時、
「実はどんどん広がっていく感覚が怖かった」と言います。


輝いている「埋もれた一瞬」を映す。

何度も取材を重ね、街に足を運んで作品をつくるマキさん。
編集者の方と街を歩き、実際にご飯を食べ、気になる点を言い合い、
時には自分自身でお店の交渉まで行うことも。
時間と手間はかかるけれど、
そうすることでキャラも自然と動くといいます。


また、


「OLの友達が持っている、めっちゃ面白い!エピソードが、
誰にも知られずに消えるのなら、自分が漫画にすることで、
誰か1人にでも届くといいなと思っている」


「自分の単行本を買ってくれる人にとって、
少しでもうれしいイベントになれれば嬉しい」


「作家としてよりも、作品で売れたい」


大きく華々しいことよりも、
些細な日常に目を向け、大切にする。
マキさんのお話から、そんな姿勢が感じられました。


疑問や怒りから創作する。

『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』では、
「吉祥寺にあるバウスシアターが無くなることが、私は嫌なんだ!」
という怒りの感情を起点に、漫画のテーマを着想したそう。


・闇のある人、悩んでいる人が好き。
取材する時も、相手の愚痴を聞き出していく。
その話の中に物語のヒントが隠れている。



受講生の感想としても、
「疑問や怒りから創作している」という話に、
「あ、そういう風に考えればいいんだ」と、
前向きな発見がたくさん見られました。


やりたいこと、好きなことは、言い続ける。

マキさんの仕事のルールのひとつに、
やりたいこと、好きなことは、言い続けることがあるそうです。


最近も好きな海外ドラマのキャラクターを、
誰から頼まれた訳でもないのに描いてSNSにアップし続けていたら、
そのドラマにまつわるオファーがあったというエピソードも。


「やりたいことをやるためには、
口に出して、アピールしていなかないとダメ。
漫画の中にも小ネタとして好きなことを入れると、
それを見つけてもらって、仕事につながることもある」


そうマキさんは教えてくださいました。
好きなことを発信し続けることで、
好きな仕事を引き寄せられることに気付かされました。


一緒に仕事をしたいと思うポイントは、
やったことのない分野+企画者の「好き」。

「マキさんに新連載を依頼するとしたら、
何をテーマにした漫画にしますか?」
という事前課題を出していただきました。


グルメ漫画がかなり増えてきている今でも、
「マキさん、グルメ漫画を描いてください!」
というオファーを受けることもあるそうです。


マキさんは、受講生が提出した企画書それぞれに、
ご自身の得意とする表現とマッチするか、そして、
どんなテーマであれば心が踊るのかを教えてくださいました。



マキさんの作風を理解しているのが大切なのはもちろんですが、
提案するそのテーマが、企画した人にとって心底、
熱意や興味のあることだとより良いといいます。


「自分の全く知らない分野は、魅力的。
チャレンジする機会を与えてくれると嬉しい」


こんな言葉から、マキさんは、
まだ見ぬ自分の可能性を信じている方だと感じました。
マキさんのエネルギッシュな生き方に惹き付けられる3時間でした。



講義の詳細はこちらの記事でもご覧いただけます。



次回は、UPQ・中澤優子さんによる「家電の企画」です。



ライター:弘瀬桃子
写真:秋葉康至
Web協力:KNAP
デリバリーサービス:NEW PORT