- 2018.03.26
ピース 又吉直樹さんによる「お笑いの企画」レポート!
9/23(土) 第11回目は【お笑いの企画】
いよいよ最後のゲスト講師となった企画メシ2017。
『お笑いの企画』の講師としてお迎えしたのは、又吉直樹さん。
芸人としての活動から、小説やエッセイなど
文壇でも活躍されている又吉さんに、
お笑い、そして創作活動全般の極意を伺いました。
「自分の能力を超えた面白さ」をどうやって引き出すのか?
又吉さんのはじめての企画体験は小学2年生。
学童での演劇で
「ここは大阪なのに、登場人物が標準語なのはおかしい」
と違和感を覚え、脚本を関西弁に書き直したところ、大ウケ。
面白さを狙ったわけではなかったけれど、達成感を得られた又吉さん。
6年生のころには、とにかく思いついたことを
ひたすら書き連ねる「ネタ帳」を作るようになっていました。
あるとき、ふとネタ帳を見返して気づいたのは、
ひとつのネタから、違うネタへの
“つなぎ”の部分にも面白さがあったこと。
なんとか場面を繋ごうとひねり出した言葉が、
普段の自分の中にはなかった言葉だと気付きました。
また、さりげない会話の中で、
「誰かと話しているときの“自分の言葉”が面白い」
「あれ?いま俺、めっちゃいいこといってるな?」
と感じた経験は誰しもあるのではないでしょうか。
他人との会話は「共同作業から生まれた言葉」であり、
普段の自分の中にはない言葉が出てくることがあるという又吉さん。
いつもと違う環境や文脈の中から、
「自分を超えた面白さ」を発見するという独自な創作理論に、
企画生もいつも以上にメモを走らせていました。
「自分の中にあるもの×風景≒自分が見えるもの」
小説を書く際、移動しながら書くことが多いと語る又吉さん。
「歩いている景色の移り変わりの中で、
いつもとは違った刺激を受け取れるんですよね」
「A地点からB地点まで歩きながら思ったことをそのまま書き出して、
でも、やっぱおもろないな……みたいなことを繰り返してますね。」
企画生の中にも、ひとりごとを言いながら歩く
又吉さんを目撃したという人もいました(!)。
また、人の景色の見え方や感じ方について、
又吉さんの後輩が、大好きなエレファントカシマシのライブ後に、
多幸感に溢れすぎて、ゴミ捨て場にいたネズミを見て、
「リスだ!!!」と叫んだ。
というエピソードを披露し、企画生一同大爆笑。
「ライブ後の多幸感の中では、ネズミがリスに見えるのか!」と
気がついた又吉さん。そこから、
「自分の中にあるもので、見えるものが違う」と学んだと言います。
自分の中にあるものと、外にあるものの「掛け算」こそ、
又吉さんの創作の源泉なのかもしれません。
現実的なことを考えると、どこかで見たことのあるものになる。
今回の企画生への課題は、
「“叫び”をテーマにしたコントもしくは物語を書く」という内容。
その状況設定や方法、言葉など、
それぞれの特徴があふれる渾身の作品を発表した企画生たち。
また、最後のゲスト講師による課題ということもあり、
普段の自分の方向性とは異なるアプローチで表現してきた人もいました。
そのひとつひとつに対して、丁寧に講評してくださった
又吉さんの人柄にも一同たっぷり魅了されました。
最後に「又吉さんにとって、企画とは?」とお聞きすると、
「見る前と後で、変化を及ぼせるものがいい」
「こんなことをやりたい! と思ったときは、
そのまま走っちゃったほうがいい。
現実的なことを考えると、どこかで見たことのあるものになる。
たとえば予算がなかったとしても、どう成立させるかで
あたらしいステップや人脈が生まれていく。
自分の発想は子どものように大事にしてもらいたいです」
という言葉をいただきました。
感覚的な面白さの向こう側にあるものを言語化していただき、
見ること、考えることの面白さを学んだ3時間でした。
「自分が考えていることや見えていることとは違ったもの」を
企画するうえでの大きなヒントを得られた気がします。
次回は企画メシ2017の総括。
『自分の企画』です。
又吉さんからのお知らせです。
又吉直樹さんの原作舞台『火花』のチケットが発売中です。
出演:観月ありさ 石田明(NON STYLE) 植田圭輔 又吉直樹 他
東京公演:2018年3月30日~4月15日 紀伊國屋ホール
大阪公演:2018年5月9日~5月12日 松下IMPホール
詳しくはこちら。
そして現在、「企画でメシを食っていく2018」の、
企画生を募集中です。プレイベントも実施します。
詳しくはこちらからどうぞ。
ライター:鈴木康平
写真:秋葉康至
Web協力:KNAP