犬山紙子さんによる「コラムの企画」レポート！

2016.11.02

ゲスト講師として、
コラムニストの犬山紙子さんにご登壇いただきました。

犬山さんは、地元・仙台の出版社で編集者として働いたのち、
ご家庭の事情で退職。マンガ家への道を目指すなか、
知人のすすめではじめたブログ
「犬山紙子のイラストエッセイ柴犬の素晴らしさ」が話題となり、
2012年『負け美女　ルックスが仇となる』（マガジンハウス）で作家デビュー。

その後、負け美女研究家として各種メディアで取り上げられ、
現在はコラムニスト、コメンテーターとして広く活躍されています。

著書に『女は笑顔で殴りあう　マウンティング女子の実態』（筑摩書房／共著：瀧波ユカリ）、
『言ってはいけないクソバイス』（ポプラ社）、『悲しきオンナたちの口癖』（ぶんか社）など。

身の回りの「まだ言葉になっていない現象」を名付け、
世の中に発信し、多くの人から共感を得ています。

・いろんな人の話に耳を傾けていると、
「結婚したほうがいいよ、子供作ったほうがいいよ」と、
自分が気持ちよくなりたいがために、相手の事情を考えることなく、
押し付けのようにアドバイスをしてくる現象が起こっていました。

・その現象にまだ名前がなかったので、「クソバイス」*とつけたのですが、
「クソバイス」って言えるだけで、すこし楽になるのではないかと思います。

・「マウンティング女子」*も、
共著の瀧波さんが名前をつけてくれた言葉ですが、
名前をつけることで、ちょっと救われるものがある。
「私、こういう理由で今までモヤモヤしていたんだ…」
ということがわかるようになります。

*クソバイス……求めていないのに繰り出される、クソみたいなアドバイスのこと。
*マウンティング女子……「私の方が立場が上! 」と態度や言葉でアピールする行為。

阿部さんが、
「名付けるときに、意識されていることはありますか？」
と質問すると

・一瞬で「言葉」として出てくるわけではなく、
その現象についてブログやコラムを書いたり、
人と話したりするなかで生まれてくる。

名付けようとして生まれてくるのでなく、
ふわっと、すっと出てくるもの。

机上で考え続けるのではなく、
書くこと・話すことで生まれる自然な気づきが
大きなヒントになるということを教えてくれた犬山さんでした。

今回、受講生に出題された課題は、
「あなたのまわり（仕事・趣味・家庭など）で
よく見掛ける事象に名前をつけてください。」
全員が日常生活で起こる現象に新たな言葉をつくり、犬山さんが総評。
受講生も、「これはおもしろい！」と思うものに各自投票しました。

投票や議論の中で、特に人気だった言葉を３つ紹介します。

【チャ歌恥（ちゃかっぱじ）】
自転車（チャリ）をこぎながら、
周りに誰もいないだろうと気持ちよく熱唱していたところ、
思いもよらぬ場所に実は人がいたと気付き急に恥ずかしくなる現象

【漢違い】
「仕事」を「志事」とし、「人材」を「人財」、
「親友」を「心友」、「起業」を「輝業」と、
イタい“当て字”にしたがる行為のこと。

【飲み狭間の戦い】
飲み会で真ん中の方に座ってしまい、
右左どちらのグループの会話に入っていか悩む様。

これはあるある！と、
会場がどっと沸いた発表会でした。

阿部さんからの最後の質問は、
「犬山さんにとってコラムとはなんですか？」

「コラムを書くとき、すごく気持ちいい。言いたいことを書けるんです」
そう答えてくださった犬山さん。

・理屈っぽくてためになる文章ではなく、
自分の好きなコラムは「ちょっと笑える」とか、
「ちょっとバカだな」と共感しつつほんのり笑えるもの。
そのときに興味があることについて素直に書く、
ということを意識するようにしています。

「書きたいことを書く」
変わりゆく社会の中で、ふと思うことを書く。
その中で悩める現代人の支えとなる言葉をつくり出す犬山さん。
人の拠り所となる「言葉の力」を実感することのできた、
おもしろくて、あたたかい3時間でした。

犬山紙子さんのオフィシャルブログでも、
「企画でメシを食っていく」のことが触れられています。
ぜひ、ご覧ください。

次回は、モコメシの小沢朋子さんによる
「食」の企画です。

ライター：本多晃次郎
写真：佐藤亮平
フォトプロデューサー：片岡圭史
Web協力：KNAP
デリバリーサービス：NEW PORT