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企画でメシを食っていく

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2016.11.15

小沢朋子さんによる「食の企画」レポート!


8/27(土)第9回目は【食の企画】。

ゲスト講師として、
ケータリングやメニュー開発、レシピ提供などを手がける
「モコメシ」の小沢朋子さんにご登壇いただきました。


対話から見えてくる、それぞれのケータリングの形。

理系の大学院を卒業後、
インテリア設計事務所に4年間勤めたのち、
「モコメシ」をスタートした小沢さん。
「食べるシチュエーションをデザインする」という
コンセプトに込められた思いは揺るぎないものでした。


・一番大切にしているのは、話をきちんと聞くこと。
仕事を依頼してきた人が、やりたいことを
はっきりイメージできていることは稀です。
とことん話をして、
腑に落ちるところまで共有することが第一歩です。


・なかなか答えが見えない時でも、
まずは聞くことだけは忘れません。
打ち合わせの時は、お客様の言葉を
理解するところからはじめます。



食材を壁に飾る、料理を吊るす、お客様と共に作る、
終わり方までも美しくデザインする……。


従来のスタイルからは思いもよらないような
洗練されたアイデアの数々に驚かされながらも、
依頼主への深い理解や、さりげない気遣いやこだわりに
「モコメシ」の小沢さんにしか成せない企画の温かさを感じました。


受け手の価値観を問う、NO PROBLEM PROJECT。


ケータリングにとどまらず、
多岐にわたる活動をされている小沢さんですが、
インドの食器「VISION GLASS(ビジョングラス)」の
輸入も手がけられています。
モノを売る立場となって、
課題として見えてきたのは「品質」の問題。


・毎年インドの工場視察に行くたびに
クオリティを上げていってもらったのですが、
日本の基準に合わせると、2割強がいわゆる
“不良品”となってしまいました。


・日本では不良品と分けられてしまうグラスが
インドやドバイ、ヨーロッパでは普通に売られている。
受け取る側の人間の価値観によって
グラスの価値が決まっていると感じました。


・生産工程の説明をして理解した上で、
でもやっぱり傷があるのは嫌、という人と
これくらいの傷なら許せる、という人。
両方いて構わないと思っています。


そこで小沢さんは、
傷や歪みがありながら使用上は問題のないものを、
VISION GLASS NO PROBLEM」と名付けて、
定価で販売するプロジェクトをはじめました。


そこには、傷や歪みに名前をつけるなど、
愛着をもってもらう工夫があります。
作業工程を見せることで、
受け手に価値観を委ねる仕掛け作りも。


価値観を問いつつも、
「NO PROBLEM」という寛容性を、
「VISION GLASS」を通じて発信する小沢さん。


料理だけでなく食器に向けられた小沢さんの視点にも
優しさや生産者への思いやりが溢れていました。


相手ありき、人ありき。


そんな小沢さんにとっての「企画」とは何か、
そう問いかける阿部さんに対して…


・相手の考えを理解することがスタートだと考えています。


・デザインは、問題に気づくことからはじまる。
「世の中のもっとこうなったら良いのに」
ということに真面目に取り組む。
相手ありき、人ありきです。



後半の課題講評でも、実現可能性やお客様への心遣いなど
丁寧な視点で受講生の課題を見ていただけました。


あっという間の3時間。
企画における、人と真摯に向き合うことの大切さを
教えていただけた、素敵な講義になりました。


次回は現役小学校教諭 沼田昌弘さんによる
「教育」の企画です。



ライター:滝本菜月
写真:八木伸司
フォトプロデューサー:片岡圭史
Web協力:KNAP