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企画でメシを食っていく

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2017.06.19

企画メシ2017、最初のゲスト講師はラッパーの晋平太さん!


5/20(土)第2回目は【ラップの企画】。

今期はじめてのゲスト講師にお招きしたのは、
ドリーミュージックに所属し、
ヒップホップMCとして活躍されている晋平太さん。


事前課題として受講生30名に課されたのはなんと、


自己紹介ラップ 8小節!


ほとんどの受講生が、
ラップを考えたことも、やったこともない中で、
晋平太さんの著書『フリースタイル・ラップの教科書』
YouTubeでのラップバトル動画などを参考にしながら
書いては消しを繰り返し、思い思いに紡ぎ出した8小節。
期待6割、緊張4割の思いとともにこの日を迎えました。


青春時代は「パトロール」。そしてラッパーの道へ。

前半はモデレーターの阿部広太郎さんとの対談を通して、
晋平太さんの半生とラップへの情熱を伺いました。


晋平太さんが10代のころに明け暮れたのは、
地元(埼玉・狭山)の「パトロール」。
仲間たちと特定のコンビニや市営グランドの前で、
街に異常がないか見守っていたとユーモアたっぷりに語ります。



そんな晋平太さんとラップとの出会いは中学時代に遡ります。
先輩からラップミュージックの存在を聞き、
自分でリリックを書きはじめていたそうです。


ただ、当時は「パトロール」の方に熱中。
加えて、仲間内でヒップホップはあまり流行っておらず、
実はサザンオールスターズやMr.Childrenの方が
人気だったと中学時代を振り返ります。


大学進学を機に、ようやくラップ仲間と出会えた晋平太さん。


「友達が出るなら俺もエントリーしよう」


と本格的にラップバトルに参戦しはじめました。


若いころはやりたくないことはやってはいけない。


大学時代からMCバトル「B-Boy Park」の全国大会に出場し、
22歳の時には優勝を果たすなど、
若い頃から輝かしい成績を残していた晋平太さん。


そこで、
「ラップでメシを食っていく覚悟」
を決めたと言います。


しかし、音楽不況や、
当時結婚を考えていた彼女の存在もあり、一度挫折。
あらたに選んだ就職先はなんと「郵便局」。


ただ、はやく仕事を終えてラップをやりたい気持ちが抑えきれず、
「誤配数はその支局の中でダントツだった」という話も。


「若いころはやりたくないことをやってはいけない」
そう感じた晋平太さんは、5年間務めた郵便局を退職し、
「ヒップホップに就職」することを決めたと言います。



「自分の納得のできることをやる」
「やりたくないことはやらない」


シンプルな言葉ではありますが、
変化の激しい時代を生きる受講生たちには、
強く刺さるメッセージでした。


一億総ラッパー化計画と自己紹介ラップの披露。

ラップに触れたことのない人に
体験してもらう機会を増やしている
晋平太さんが掲げるのは、
「一億総ラッパー化計画。」


老若男女すべての人がラップをする社会の実現が野望だと言います。
先日もおばちゃんによる抜群に面白いラップがあったというエピソードも。


「今まで奪ってきた“ラップ童貞”は数知れず」
と豪語する晋平太さんから指名された受講生は、
前に出て、ビートに乗せてラップを発表することに。



「私の地元は金沢だ、何食べても美味しい生魚」
「ぐさっと注射、ブラッド噴射」
「はみ出したいのさ画面の枠を ゴミ出したいのさ可燃は木曜」


などなど、
自分の出身地や職業、日常生活を絡めつつ、
この日のためにしたためてきた
自己紹介ラップを披露しました。



はじめは緊張や気恥ずかしさが勝っていた受講生ですが、
ラップを披露する姿にはその人の個性が輝いていて、
終えたあとはみんなすっきりとした笑顔をしていました。


晋平太さんにとってラップとは、
「自分の思いを言葉にすること」。


ただ韻を踏むだけではいけない、
自分の思いとストーリーがあるのが、
ライミングだといいます。


現に、技術は拙くとも、
その人の個性や情熱が出ている自己紹介ラップに、
会場は大いに沸いていました。


ラップで自分を好きになれる。

受講生の自己紹介ラップでは、
自分自身をネタにしたり、
弱さをさらけ出したりすることもありました。


しかし、さらけ出して自分を見つめることで、
自分を本当に好きになれるのかもしれません。


「ラップには過去を肯定する力がある」


という阿部さんの感想に対して、


「ラップを通して、自分を好きになれる。
そして周りも自分を好きになって欲しい」


ラップが持つポジティブな力を晋平太さんは繰り返し語っていました。


企画メシのテーマラップをみんなでつくる。

後半は、机を取っ払って、みんなで輪になり、
企画メシをテーマにしたラップを作ることになりました。


「ラップは連想ゲーム。言葉を出し合えば、あっという間に1曲が完成する」



晋平太さんの言葉通り、
1時間にも満たない時間の中で
みんなが言葉を出し合い、時には韻を踏み合い、
16小節のリリックが完成!


企画を愛し、企画メシに参加する、
ハングリーで個性的な受講生たちを
象徴した一曲ができました。


晋平太さんの野望通り、
受講生は「ラップ童貞」を奪われ、
晴れて全員がラッパーとなった今回の企画メシ。


ラップに対してのハードルの高さや、
ディスなどの怖そうなイメージは見事に払拭。
ラップの「肯定する力」といった新たな魅力が見つかり、
思いがけず自分自身を見つめるきっかけとなった3時間でした。


講義の詳細はこちらの記事でもご覧いただけます。
晋平太に聞く【前編】「自分の生き方に自信があるならフリースタイルは負けるわけがない」連載:大人の学び 第1回



次回は、漫画家・マキヒロチさんによる「物語の企画」です!



ライター:鈴木康平
協力会社:株式会社ドリーミュージック
写真:八木伸司
Web協力:KNAP
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