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企画でメシを食っていく

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2017.10.26

真鍋大度さんによる「テクノロジーの企画」レポート!


7/15(土)第6回目は【テクノロジーの企画】

今回のテーマは、「テクノロジーの企画」。
Bjork, Squarepusherをはじめ、
アーティストのライブ演出を手がけ、
昨年のリオオリンピック閉会式では、
フラッグ・ハンドオーバー・セレモニーのAR演出、
テクニカルディレクション、を担当された、
DJ、メディアアーティスト、プログラマーの
真鍋大度さんを講師にお迎えしました。


「"GAN(Generative Adversarial Network)を用いた企画を考える」


という、過去最高級に難度のある事前課題に受講生は四苦八苦。
真鍋さんに企画書を見てもらえると奮起し、講義に臨みました。


音楽あがりのメディアアーティスト。


講義前日まで中国に滞在し仕事に取り組み、
さらに帰国した日の深夜には、
クラブでDJをこなしてきたという
真鍋さんのタフネスさに、まず驚く受講生一同。


メディアアーティストは様々なバックグラウンドを持つ人が多い中、
真鍋さんは自身のルーツは「数学」と「音楽」にあるといい、
小さい頃から取り組んでいた音楽やゲームの制作、DJの経験が、
今の活動に影響を与えているそうです。
オープンな思考を必要とする
コラボレーションベースのプロジェクトを中心とした活動は、
技術的な勉強以外に文化的な学びが常に必要になるといいます。


Artの世界にはSurveyが必要。


「アートの世界ではサーベイ(調査)が必須」
「自分は元ネタを調べるのが好き」


と語る真鍋さん。
学生時代の「コミュニケーションツール」を考えるというお題の際には
狼煙にまで立ち返って考える様にレクチャーがあったそうです。
歴史をひもとくことが重要で、
前例に対してリスペクトを払うアートの世界だからこそ、
徹底的にディグる(元ネタを探す)と言います。



メディアアートの歴史的事例から、
これまで自身が手掛けてきたプロジェクト。
海外の友人たちが現在進行形で動かしている最新事例まで。
真鍋さんの知見に触れることができ、
今まで知らなかったメディアアートへの関心が、
受講生もぐぐっと深まりました。


仕事のマップの面積を広げる。

中でもこの日、目を見張ったのは真鍋さんが、
仕事を整理するためにつけているという「樹形図」。


10年以上前に作られたショールームのインスタレーションから
リオオリンピック閉会式のようなビッグプロジェクトまで、
真鍋さんがこれまで行った仕事が、
時系列や関係性に沿って関連付けられ、
詳細にマップ化されていました。


また、この樹形図の驚くべきは、
真鍋さんがいずれやりたい仕事までもが組み込まれていて、
今の仕事が将来のプロジェクトに関連付けられているところ。 


「将来的にやりたい企画を実現させるために、
戦略的に複数の企画を関連づけて 実績を積み重ねていく」


真鍋さんの熱量を最も感じた瞬間でした。


アイデア勝負ではなくなったら僕の出番ではない。

そして講義は、企画書の講評へ。


「"GAN(Generative Adversarial Network)を用いた企画を考える」


これは、難しい課題だったと前置きしつつも、


「ここ1年ほどGANを使った 面白いアート作品が出て来ています。 人工知能、AIがマジックワードになってしまっていますが、GANについてリサーチすることで実際に今どういうことが出来るのかを具体的に知ってもらうきっかけになればと。どれも実現できそうだけど、誰でも思いつきそうなことが多かった印象」と講評。


「その企画からどんなデータを得られて、そのデータがどのように二次利用できるかまで踏み込んでほしかった」
という隠されたテーマには、ただ面白いアイデアを実現させるだけではない、
「企画の意義」を捉えることの大事さにあらためて気づかされました。


「誰もやったことのないことをやりたい」
と企画に対する姿勢を語ってくれた真鍋さん。


テクノロジー周りの企画は、
アイデア勝負が終わった後はスケールアップの勝負になると言いますが、
「アイデア勝負じゃなくなったら僕の出番ではない」


そう言い切る真鍋さんの言葉には、
日頃から「企画」と向き合う受講生にとっても、
大変力強い一言でした。


ちょうど今回で折り返しを迎えた「企画メシ2017」。
気が引き締まった受講生一同、
残す6回がさらに楽しみになりました。



次回は、「法律の企画」、
シティライツ法律事務所の水野祐さんをお迎えします!



ライター:鈴木康平
写真:八木伸司
Web協力:KNAP
デリバリーサービス:NEW PORT