- 2017.11.01
シティライツ法律事務所 水野祐さんによる「法律の企画」レポート!
7/29(土) 第7回目は【法律の企画】
企画メシ2017もここから後半戦。
今回は、シティライツ法律事務所の代表理事であり、
Arts and Law代表、クリエイティブ・コモンズ・ジャパンの理事も務める
法律家・弁護士の水野祐さんを講師にお迎えしました。
水野さんからいただいた事前課題は、
「残り6回の企画メシが盛り上がるルールを考えよ」。
全12回の中盤というこのタイミングで、
「もういちど、企画に対する気持ちを盛り上げよう」
という思いで、それぞれこの日を迎えました。
サブカルを好きなまま、法律家を目指す。
「10代の頃からサブカルチャーが好きで、
映画・音楽・本・雑誌を一人で楽しんでいた」
そう語る水野さん、大学受験を控えた高3の模試では、
なんとほとんどE判定だったそうです。
しかし、その年の英語の問題に出題されたのは、
なんと好きなロックバンドのボーカルのインタビュー。
その幸運もあって、慶應義塾大学法学部に現役合格。
大学時代は、サークル活動やバイトに明け暮れる日々。
そんな中、アメリカの法学者ローレンス・レッシグの本に出会い、
「これはパンクだ!」と衝撃を受け、法律家を目指しはじめたそうです。
「今勉強している人には、勉強以外の興味も捨てずにやってほしい。
後からやろう、と思ってもなかなかできない。好きなことを、諦めないでください」
好きなことを捨てずに勉強してきたからこそ、
今の、水野さんの仕事につながっているのだと感じました。
ボランティアから、仕事につなげていく。
「弁護士になる」ことではなく、
「クリエイターをサポートする」ことが目的だったので、
弁護士になってからようやく
スタートラインに立てたという気持ちで
やりたいことがたくさんあったという水野さん。
「無料で相談に乗る→後々、仕事に繋がる」
最初のきっかけがボランティアだったとしても、
その関係から今では仕事に発展することもしばしばあるそう。
「エンターテイメントロイヤーの先輩とは、
自分はどう違う仕事ができるのだろうか?」
インターネットを通じて、
個々のクリエイター、小さなプロダクションが、
世界的なインパクトを持てるようになった時代において、
その分野がガラ空きだったという水野さん。
Chim↑Pomによる岡本太郎壁画付け足し事件の弁護や、
前回の「企画メシ」ゲスト講師だった真鍋大渡さんとの
Perfume 「Global Site Project」など、
水野さんらしい仕事が次々と生まれていったと言います。
「自分たちが何をしたいのか」から、ルールを作る。
「コンプライアンス」を日本語に訳すと「法令遵守」。
しかし、「compliance」を英英辞典で引くと、
「command」という言葉だけでなく
「wish」という言葉が含まれています。
日本でも、守るばかりでなく、「ルールは時代と共に変わっていく」
ことを前提としたコンプライアンスにしなくてはなりません。
wishとは、自分たちが何をしたいのか、何を求められているのか。
サッカー日本代表のハリルホジッチ監督と、
プレミアリーグのアーセナルを率いるベンゲル監督の
「Rule in Sports」という対談番組を観た時も、
「ルールを自分寄りに引っ張り、新しいルールを自分たちが作っていく」
という考え方に惹かれたといいます。
「受講生」から、「企画生」へ。
後半は、課題「残り6回の企画メシが盛り上がるルール」の講評へ。
「1人くらい、“何もつけ足す必要はない”という人がいてもよかった」
という言葉に、はっとした受講生一同。
「人間は怠惰なので、ルールで締め付ける必要がある反面、
ルールを盛り込みすぎると、軍隊化してしまう」
余白をつくり、偶発性を誘うことで、
新しいものは生まれるといいます。
今回のルール提案をきっかけに、
・自分たち自身で課題を評価し合う仕組みをつくる
・「受講生」という呼び名を「企画生」と言い換える
・「バディ制度」(二人一組になって、課題の進捗報告やアドバイスをし合う)
などが実際に導入されることになりました。
「メタが好き」と繰り返し語る、水野さん。
「昨日まで生きてきた価値観を、揺さぶられたい」
「初期のセックス・ピストルズの観客は6人しかいなかったと言う。
最初の1人になりたい、時代の特等席で見つめていたい」
という言葉が印象的でした。
いよいよ後半に差し掛かった企画メシ。
企画生それぞれが「なぜここに来たのか?」その初心を思い出し、
今の自分にできること・やりたいことを模索しながら取り組んでいきます。
講義の詳細はこちらの記事でもご覧いただけます。
次回、「地元の企画」のレポートをお楽しみに。