- 2017.12.01
映画監督 松居大悟さんによる「映画の企画」レポート!
9/9(土) 第10回目は【映画の企画】
今回のゲスト講師は、
映画「私たちのハァハァ」、「アズミ・ハルコは行方不明」や、
ドラマ「バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~」
などの監督を務める松居大悟さん。
講演などで登壇されることはあまりないという松居さんですが、
モデレーターの阿部広太郎さんは大学時代のクラスメイトでもあり、
そのご縁から、今回お越しいただくことが叶いました。
憧れの人が、泊まりにきた!
中学・高校時代は、漫画家や芸人を目指していた松居さん。
大学生になり、演劇サークルに入ると、
みんなでものづくりをする歓びを知ったといいます。
また、京都を拠点に活動する劇団「ヨーロッパ企画」に
「この方たちの演劇はすごい!」と、多大なる影響を受けた松居さん。
熱烈なアプローチで、ヨーロッパ企画の代表である上田誠さんの、
アフタートークイベント、そしてその後の飲み会に参加。
その飲み会で終電を逃してしまった上田さんが、
松居さんの家に泊まりに来るという展開に!
こうして憧れの人に積極的にアタックしたことで、
その後、休学して「ヨーロッパ企画」のお手伝いで京都へ。
そこで自身が主宰する「ゴジゲン」という
劇団名を名付けてもらったそうです。
クリープハイプとの出会い。
ロックバンド「クリープハイプ」のフロントマン、
尾崎世界観さん(「企画メシ2016」ゲスト講師)を、
ゴジゲンの公演にお誘いしたことをきっかけに親交を深め、
クリープハイプのMusic Videoをつくることになります。
それまでは、「自分のやりたいこと・好きなこと」は、
商業としては向いてないかもと抑えていたそう。でも、
「ゴジゲンでやってたみたいなやつがいい!」と、
尾崎さんから言葉をもらったことで、
やりたいこと、好きをおもいきり表現するようになり、
振り返ればそれが人生のターニングポイントだったと語ります。
銀杏BOYZ「エンジェルベイビー」の
Music Videoを観ながら解説してくださる一幕も。
通常、アーティストに寄り添った映像をつくる方が多い中で、
アーティストに寄り添うのではなく、
できるだけ逆らい、音楽に負けない映像を作りたい。
自分とこのアーティストだからこそ生み出せるものを。
その言葉に、松居さんの抱く、強い思いを感じました。
敗北から、はじまることもある。
公開されている作品数の3〜4倍は、
企画段階でボツになることや、今年に至っては、
公開を予定していた舞台が急遽中止になるという事態も。
これまでの道のりはけして順風満帆ではなかったと言う松居さん。
しかし、舞台が急に中止になった時は、
今抱えているこの激しい怒りも、
季節が変わる頃には、たぶんもう忘れてしまっている。
「あの時はああいう風に思ったけど、仕方なかったのかな」と、
時間が経つと風化してしまう。
時間に解決させず、この気持ちを作品として残したかった―
その思いから、ヒップホップバンド「MOROHA」に声を掛け、
プロデューサーでもある阿部さんをはじめ、
力を貸してくれる方たちのバックアップを受け、
映画「アイスと雨音」を完成させたと言います。
※映画「アイスと雨音」は、2018年3月3日、渋谷ユーロスペース他で公開。
自分が信じられる人、
感情で支えてくれる人と一緒に作りたい。
しっかり心が折れたからこそ、ちゃんと立ち上がれる。
人の感情にとことん見つめる松居監督の、
創作に向き合う姿勢がみえる印象的な言葉でした。
日陰とされている人にも、ドラマがある。
講義の後半は、事前に提出された課題、
「自分の人生を映画にするとしたらどんな映画にしますか?」の講評に。
ポイントは、「自分にしか感じられないものをどう人に伝えるか」ということ。
プロットや予告編の映像を用意した人もいれば、
自分のコンプレックスを、
勇気を振り絞って包み隠さず企画にした人も。
「自分をさらけ出す」ことの大切さや、
企画に対する「熱量」が伝わった、
とても刺激的な時間でした。
「日陰とされている人にも、ドラマがある」と言う松居さんに、
ドラマチックな主人公やストーリーとは、
距離があるように思えてしまう私たちの日常にも、
スポットライトを当ててもいいんだと気付かされました。
講義の詳細はこちらの記事でもご覧いただけます。
次回は、いよいよゲスト講師の最終回。
ピース又吉直樹さんによる「お笑いの企画」です!