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企画でメシを食っていく

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2018.10.01

テレビ東京プロデューサー 佐久間宣行さんによる「テレビの企画」レポート!


7/14(土)第6回目は【テレビの企画】

ゲスト講師にお招きしたのは、「ゴッドタン」や「青春高校3年C組」など、
数多くの人気番組を手掛けている、テレビ東京プロデューサーの佐久間宣行さんです。


カルチャーにどっぷり浸かっていた10代。


物心ついた頃からサブカルチャーが大好きだったという佐久間さん。
年に数回、地元の福島県から東京へ行くたびに、
本や漫画などを買い集めていたそうです。


大学進学を機に上京してからは、
地元では見ることのできなかった演劇にも魅了され、
芝居を見るために徹夜で並ぶことも多々あったそう。


「テレビが好きなのは当然で、
テレビと掛け合わせられる武器を何個持っているか」


そう仰る佐久間さんにとって、
大好きなことに情熱を傾けた学生時代の知識や経験が、
企画を考える上での、大事な武器になっているといいます。


テレビ東京入社、AD時代の心境の変化。


テレビ東京に入社後、配属されたのは深夜ドラマの担当。
一年間で家に帰れたのはわずか80日という、
とてつもない忙しさだったそうです。


撮影で道路の端から端まで車止めをする際には、
人手が足りず、5つの車道を一人で止めていた、
というエピソードまで…...!


多忙な日々の中で、自分のやりたいクリエーションと、
当時のADの仕事に繋がりを感じられずにいた佐久間さんは、
「ADの仕事ってくだらねえな」と感じていたといいます。



そんな時に自分の仕事を見直すきっかけとなったのが、
小道具として任せられた、ひとつのお弁当でした。


あるドラマの撮影で、
サッカー部のマネージャーが
先輩のためにつくるお弁当が急遽必要となり、
居酒屋でのアルバイト経験のあった佐久間さんが担当することに。


「16歳のリアルなお弁当ってなんだろう?」
と考えをめぐらせて、
サッカーボールのおにぎりを作ったそうです。


さらに…
女子高生ってことは冷凍食品もちょっと入ってるかな?
と考え完成したお弁当を持っていくと、
その出来映えに監督と役者は大喜び。


台本まで、お弁当メインへと変わることになりました。
その時はじめて、ADの仕事もクリエーションであると気付いたそうです。


ひとつひとつの企画に自分のアイデアを入れていく。
→ それを面白いと思ってもらえると、結果自分に跳ね返ってくる。


→任せてもらえる量が少しずつ増えていく。


そんな相乗効果を発見してから、
どんな企画にも自分の色を加えるようになり、
ADの仕事にもやりがいを感じるようになったといいます。


出す企画が自分のキャラクターになる。


佐久間さんの仕事ぶりを見た、
当時の目玉番組「 TVチャンピオン」から声がかかり、
週に一度の企画会議に参加することに。


そして2年目という異例の早さで企画が通り、
コーナーを任された佐久間さん。


若手ADが、先輩プロデューサーに勝てるのは、
考える時間しかないと、とにかくメモを書いて企画の卵を作り、
三日に一度、自分の中で企画のオーディションをすることで、
精度の高い企画を出し続けていたそうです。



その一方で、あえて通らない企画を出す!
ということも意識していたといいます。


もちろん企画は通して実現するためにある、
しかしスタッフの中だけでいうと、企画は名刺代わり。


「例えば僕の場合は好きな音楽の企画を一本は必ず入れたりして、
通らなくても『得意分野はここだよ』という名刺を出していく。
そうしないと自分のキャラクターが分かってもらえないし、
チャンスが巡ってこない。」


自分のキャラクターを提示する企画を毎回一つでも出し続けることで、
その分野の仕事の時に声がかかるようになる。


佐久間さんの未来を見据えた企画に対する考え方は、
企画づくりについて考える大きなヒントとなりました。


若者にとってテレビは不便なもの。


メディア環境がめまぐるしく変わり続ける今、


「若者にとってテレビは、面白い面白くないよりも、単純に不便なものである」


と佐久間さんはいいます。


そのため配信オリジナル番組を作ったり、イベントを開催するなど、
若者とテレビの新しい関わり方を提案する企画を出し続けているそうです。


ネットの短い視聴時間に合わせて
曲のイントロがほとんどなくなってきた音楽業界、
クリエイティブがテクノロジーに支配される現象が、
同じように映像の業界でも起こるはず。


それを悲観せずに新しい技術や考え方を柔軟に取り入れるスタイルには、
一貫して、テレビの面白さをもっと発信したいという強い意思を感じました。


佐久間さんのテレビと企画に対する真摯な姿勢から、
たくさんの刺激を受けた3時間。


企画メシの講義も次回で折り返しです。
企画生の新しい企画づくりとさらなる
成長のきっかけとなる講義になりました。


講義の詳細はこちらの記事でも。
「芸人がスベっても必ず編集で面白くする」テレ東 佐久間Pのシゴト論



次回は、伊賀大介さんによる「スタイリングの企画」です。



ライター:皆川真麻
写真:加藤潤
Web協力:KNAP