- 2018.11.19
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AR三兄弟 川田十夢さんによる「ARの企画」レポート!
8/25(土) 第9回目は【ARの企画】
今回のゲスト講師は、AR三兄弟の長男、
「通りすがりの天才」こと、川田十夢さんをお迎えしました。
テクノロジー×お笑いという未来の舞台「テクノコント」の企画開発や、
J-WAVEのラジオ番組「INNOVATION WORLD」のナビゲーターを務めるなど、
既存の開発者の枠を超えてご活躍される川田さん。
講義ではどのようなお話を聞けるのか、企画生一同心待ちにしていました。
夢と空想が好きだった幼少期。
幼い頃から、日常的に空想を膨らませていたという川田さん。
お母さんが読み聞かせてくれる物語の続きを考えたり、
友達と遊ぶためにごっこ遊びを開発したり、
とにかく考えることが好きな子供だったといいます。
さらに小学生の頃には、視覚だけで見る世界に疑問を感じ、
身の回りの感覚を「味覚」だけで感じ取るという生活に挑戦したそう…!
作文で、転校したときの気持ちを、実体験をもとに、
「古い乾電池から流れる、茶色い液体を舐めたような気持ち」と書いたところ、
先生からは「お前は天才か!?」と驚かれたというエピソードも。
そんな子供の頃の空想や溢れる好奇心が、開発の原点なっているといいます。
いかに技術を現実に接続していくか。
大学卒業後はヘッドハンティングされ、ミシンメーカーに入社。
ミシンとネットを繋ぐ革新的な技術で特許を取得し、
退社後はAR三兄弟として様々な開発を進めてきました。
「技術の探求はほぼ完了して、
今はそれをどう世の中に役に立てるかを考える段階。
未来につながる技術をいかに現実に接続するかを考えています」
そう語る川田さんの開発するシステムは、
リアルタイムで、人間を風景と同化させて透明人間にしたり、
座っているおじいちゃんを銅像のテクスチャーにするなど、
次々とわくわくする事例を見せてくださいます。
最新のテクノロジーを駆使しながらも、
それを形にするアイデアは便利で簡単で面白く、
受け取る側にはその難しさを意識させない工夫がなされていました。
今まで複雑なものだと思っていたARがぐっと身近に感じられるような、
ユーモア溢れる柔軟なアウトプットの数々に驚かされます。
重いものを軽く見せる質量変換。
教育やお笑いなど、様々なジャンルとコラボし続ける理由を、
「感性が近い人とバンドを組むように仕事をしたい」と話す川田さん。
その時に大事にしていることは、
「軽いものを重くするより、重いものを軽くする」ことだそう。
ユーモアのある人は自然と質量変換していて、
重いものを軽くした瞬間に笑いが起こるといいます。
その例としてあげたのが、モデルのアンミカさん。
火事から命からがら逃げ出した時、
家族が偶然手に持っていた引き出物の紅白饅頭を見て、
「めでたいやん、これ!門出やん!」と言うなど、
どんな苦境もポジティブ変換してしまうアンミカさんを
「拡張現実」と表現し、企画生に伝えます。
講義の中では「拡張現実」という言葉を、
舞台や小説そして人にまで、あらゆるものに対して使うのが印象的でした。
川田さんにとって拡張現実とは、
現実的には無理なことでも、
『拡張現実的には可能』に変換していくこと。
現実では残せないものでも拡張現実では残すことができるし、
夢のような子供の空想も拡張現実の中では実現できる。
それらを形にすることこそが、
川田さんにとって社会に対する大きな繋がりであるといいます。
企画とは、社会と接続するための手段。
後半は、ARの技術を利用して物に記憶を宿す仕組み
『物に記憶』を使った事前課題の講評へ。
直接本人の声が聞きたいという川田さんの提案で、
企画生全員がひとりずつ企画をプレゼンしていきます。
たくさんの笑いが散りばめられたトークと課題へのフィードバックに、
会場は常に笑いが溢れ、リラックスした雰囲気で講評が進みます。
ひとつの仕組みから生まれた33通りの企画に、
川田さん自身もヒントとなるものがたくさんあったと言ってくださいました。
「企画とは、社会と接続するための手段。
自分の頭の中にあるだけでは世の中には実装されない。
変なことって思いついちゃうけど、社会と接続しなかったら変なまま。
それで存在していいよ、と自分でしていきたい」
社会と接続し続けることで現実世界を拡張しようと挑戦する、
技術者としての真摯な姿勢を垣間見ることができました。
また、この日は川田さんの誕生日目前!ということで、
企画生からは、ARを使って記憶を宿したケーキでサプライズをご用意。
楽しい講義のお礼も込めて、少し早めのお祝いをさせていただきました!
さらにアフター企画メシでは、富山の食材を使った「富山の企画」、
講義後には「花火の企画」など、企画が盛り沢山の一日に。
ゲスト講師から刺激を受け、企画生同士でも熱量を与え合い、
回を重ねるごとにたくさんの企画が自然と生まれてきた2018年の企画メシ。
講義も残すところあと3回、まだまだいい企画を残していきます!
講義の詳細はこちらの記事でも。
みんな、絵本の「続き」を考えていなかった? 川田十夢の原体験
次回は、文筆家の鈴木涼美さんによる
「コラムの企画」です!
ライター:皆川真麻
写真:友田和俊
Web協力:KNAP