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企画でメシを食っていく

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2018.12.12

文筆家 鈴木涼美さんによる「コラムの企画」レポート!


9/8(土)第10回目は【コラムの企画】

今回のテーマは「コラムの企画」。ゲストは、
著書に『「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』
『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』(幻冬舎)などがあり、
他にも多くのメディアに出演している文筆家の鈴木涼美さんをお迎えしました。


独自のキャラ作りをしていた学生時代。


中学を女子校で過ごし、高校は共学で過ごした鈴木さん。
高校在学中に、ブルセラショップの世界に触れたそうです。
女子だけのコミュニティの怖さと、男性の目線が入ることで
女子のヒエラルキーが壊れるということを体感したと言います。


『毎日本を読むこと、英語の勉強、友達をたくさん作ること。』


この3つは両親から求められていたこと。
その上でキャラ立ちを意識して、
一見ギャルのような女子高生なのに
遠藤周作の本を持ち歩いていたそう。



そして、夜の世界を経験した後、新聞社に就職した鈴木さん。


AV業界のように、キャリアのない素人が最も給料が高く、
キャリアを重ねるほどに給料や価値が下がる世界と、
一般的に新入社員は給料が低く、キャリアを重ねて上がっていく世界。
女性の仕事には、この二つのパターンがあることを身をもって感じたそうです。


文体は文よりものを言う。


鈴木さんは、新聞社で役所の担当に就きます。
全く興味のない分野だったそうですが、
とにかく調査を重ねたり、関係者に話を聞きにいったりと、
自分がやりたいことではないことに挑戦するという経験が、
今の仕事にも役に立っていると言います。


ネタになる情報をリサーチし、
定型文に則り、情報を分かりやすくまとめる。
少ない文量で最低限、伝えるための技術が
得られたと教えてくださいました。



また、書きたいことがあって言語化することも大切ですが、
それよりも「言い方」で印象に残るかどうかが決まると考えていて、
まずは「文体」を決めてから書きはじめるそうです。


さまざまな「文体」を自分の中に持つことで、
表現の幅を広げることができるとのこと。


なぜ自分が書くのか、考える。


講義の後半では、事前課題の講評へ。


『ある雑誌であなたのコラム連載が決まりました。
全12回の連載をする時、連載タイトルと、
1回目のコラムを書いてください』


企画生が執筆したコラムを1人ずつ講評していただきました。



企画生の中には、
コラムに合わせて企画書やデザインを作ったり、
全12回の全てのコラムを執筆するなど、
その熱量に鈴木さんも驚いていました。


コラムに必要なものは「情報と批評と独自性」だと言います。
そのどれかが抜けていると、
エッセイやブログとしては面白くなりますが、
コラムとしては成立しなくなってしまう。


また、連載する際には、その回だけ読んでも成立してなくてはならず、
さらに他の回も読みたくなる工夫があると良いコラムになると言います。



また、字数制限があるコラムは、
「何を書くのか」と同じぐらい「何を書かないか」が大切だと言います。
まず1.5倍書いてから、削ぎ落とすことが必要で、
思ったままに書くとバランスが悪くなったり、
本来伝えるべきところ以外に文章量を割いてしまうことがあるそうです。



最後に「鈴木さんにとって、企画とは?」とお聞きしました。


「連載の話が来た時はだいたい恋愛などの大枠がありますが、
枠というよりは、なぜそれを書くのかを大事にしてますね。


鈴木涼美がこれを書いていることに
意味や理由づけがされてないといけない。
一つ一つ、理由を言語化することが大切。


書きたいことがある、得意だから、
というだけではダメで、自分がやる意味を見出して、
人を納得させることだと思いますね」


なぜ自分はこの企画をするのか……?
企画生一同、感銘を受けた言葉でした。


講義の詳細はこちらの記事でも。
東大卒・AV女優から新聞記者を経て。鈴木涼美の「文章」で食っていくための戦略



次回は、さわのめぐみさんによる
「食の企画」です!



ライター:渡邉裕哉
写真:友田和俊
Web協力:KNAP