Kikakumeshi

企画でメシを食っていく

ニュース makikomi tsunagari tasukeai

2018.12.19

ものがたり食堂 さわのめぐみさんによる「食の企画」レポート!


9/22(土) 第11回目は【食の企画】

企画メシ2018も、ついに残すところ2回。
最後のゲスト講師としてお招きしたのは、
映画や絵本などのストーリーから、
インスパイアされた料理を提供する
『ものがたり食堂』の主宰・さわのめぐみさんです。


自分が何を食べているのか分かる料理を。


さわのさんのご家庭は、家族全員が料理人。
しかし、料理をするようになったのは、
意外にも一人暮らしをスタートさせてからなんだとか。
それまでは包丁を握ったことすらなかったといいます。


はじめは、お味噌汁に出汁を入れることも、
炊飯器の水のメモリの見方も分からず、
失敗してばかり。


お母さんに電話でアドバイスをもらいながら、
試行錯誤を繰り返すなかで、
「なんでこんなに楽しいことを知らなかったんだろう?」と、
少しずつ料理の楽しさに気付いていったそうです。



カフェで働きはじめたさわのさん。
そこで違和感を抱いたのは、
レンジで温めるだけのハンバーグを、
料理としてお客様に提供していたこと。


幼い頃から、家族の手料理だけを食べていたさわのさんにとって、
出来合いの料理や冷凍食品は、あまり馴染みのないものでした。


自分が食べている料理なのに何が入っているかわからない…
そのことに疑問を感じ、料理をつくる過程を、
もっと知りたいと思うようになったそうです。


イタリアでの修行時代。


料理の修行のためイタリアへ留学し、
古城の中の素敵なレストランで働くことに。
しかし、そんなレストランでも
たくさんの缶詰や冷凍食品が使われていました。


一から作られた「手作りの料理」を求めて、
職場をフィレンツェの小さなレストランへ。


そのお店は「美味しかったよ!」と
厨房までお客さんが入って来てしまうほど
アットホームな雰囲気だったのだとか。


お客さんとの距離の近さに驚きつつも、
自分自身がきちんと作った料理を提供し、
食べた人が喜んでくれることこそが、
料理を作る側の喜びであると気づいたといいます。


ものがたり食堂は「味わえる読書感想文」。


ひとつの物語を味わうように、
映画や小説のストーリーになぞらえた
料理を提供する「ものがたり食堂」。


さわのさんは、レシピを考えるとき、
まず図書館へ足を運びます。
記事を読んだり、背景にある歴史を調べることで、
どんな料理を作ろうかと想像を掻き立てるそうです。


資料を集めてイメージを膨らませているうちに、
だんだんと資料まで美味しく見えてくるんだとか。


「私の料理は味わえる読書感想文なんです」
と笑顔でおっしゃっていたさわのさん。
料理の企画から提供まで、
すべての過程をとことん楽しむ姿勢が印象的でした。


生活の基盤と表現の場を分ける。


大人気のものがたり食堂ですが、
さわのさんの生活の基盤は、
あくまで普段のお仕事であるケータリング。
ものがたり食堂は、自分の新しい表現を見い出す
クリエイティブな場所として位置付けています。


ものがたり食堂を入り口としてさわのさんを知ってくれた人から
ケータリングのオーダーが来ることも。


クリエイティブを発表する場をきちんと設けていることで、
次の仕事へ繋がる道が開ける、というお話に、
企画生も熱心に耳を傾けます。


「美味しいね」を会話のきっかけに。


講義後半は企画メシ史上初の、キッチンでの講義。
呼ばれた企画生がキッチンへ向かうと
素敵なテーブルコーディネートとお料理の数々が……!
実はさわのさんが、企画生にサプライズで準備をしてくださっていたのでした。



さわのさんからいただいた事前課題は、
「企画メシ2018のみんなで、最終回に食べたい料理と、
その料理名を考えてください」。


卒業証書に見立てた恵方巻き、
企画生をイメージした32種類のお寿司など、
企画メシでの半年間を振り返りながら取り組んだ、
思い入れのある温かい企画書が集まりました。


さわのさんの料理を囲みながら、和やかな雰囲気で講評へ。
美味しい料理の数々に、自然と笑顔が増えていきます。



「料理は人とコミュニケーションを生むツール、
みんなの『美味しいね』で会話が弾むきっかけでありたい」

とお話ししてくださったさわのさん。


4期の象徴でもある講義後のアフター企画メシなど、
食と結びつく思い出が特に多かった2018年の企画メシ。


今回の講義を通して、
企画生の中に美味しい記憶がさらにひとつ増えました。


講義の詳細はこちらの記事でも。
食べログでは探せない、いつも超満員になる「ものがたり食堂」の仕掛け



次回はいよいよ最終回。
企画メシ2018の総括、
「自分の企画」です。



ライター:皆川真麻
写真:友田和俊
Web協力:KNAP