Kikakumeshi

企画でメシを食っていく

ニュース makikomi tsunagari tasukeai

2016.04.12

「企画メシ2016」プレイベント詳細レポ!


第二部「企画メシってどう?」

「企画でメシを食っていく2016」は5/7(土)に開講!

【4/18(月)】のエントリー締切に先駆けて、去る4月3日(日)に「企画でメシを食っていく2016」(以下、「企画メシ2016」)の説明会を兼ねたプレイベントが行われました。


第二部では、2015年の「企画メシ」に参加した第一期生3名と阿部広太郎さんによる座談会が行われました。テーマは「企画メシってどう?」。昨年の「企画メシ」について本音で語ってくれました。(第一部のレポートはこちら


〔企画メシ第一期生〕
 小林 慶太:株式会社乃村工藝社 空間プランナー
 竹渕 祥平:株式会社ミルボン 企画プランナー、マーケター
 河田 慎:株式会社ナップ デザイナー


〔司会〕
 阿部 広太郎:「企画でメシを食っていく」主宰 コピーライター、モデレーター



見た瞬間に「行こう!」と思いました。

阿部:それではまず、「企画メシ」に応募した志望動機を聞かせてください。

小林:「企画メシ」のことは、Facebookで知りました。「企画」を軸にしたセミナーは世の中にあまりなく珍しかったこと、自分はプランナーであり、30歳という節目であったことから、視野を広げたいと思い応募しました。見た瞬間に「行こう!」と思いました。

阿部:なんでピンと来たんでしょう?

小林:というのも、企画メシの応募告知を見る直前に、自分の仕事への向き合い方を考える機会があって、「これだ!」と直感的に思ったんです。もしみなさんの中に、見た瞬間にピンと来た方がいらっしゃったら、そこには何かあるはず。すぐ応募した方がいいと思います。


つながりから、何かを変えていきたい。

阿部:竹渕さんはいかがですか?

竹渕:去年の3、4月頃。実は僕、進路に迷っていたんです。ビジネススクールに通いMBAを取得したり、新しいことや大きいことをしたいと思ったり、でも、なんだかそれらの活動もしっくりせず、もやもやする日々が続いていました。その時、35歳だったので、今から5年後、10年後にどんな仕事をしていくのか迷っている最中、Facebookで「企画メシ」のおにぎりのアイコンが偶然、目に留まったんです。

阿部:それで知ってくれたんですね。

竹渕:それから、阿部さんのことを徹底的に調べ上げたんです(笑)。30オトコを応援するプロジェクト「THINK30」で、阿部さんのコラムを目にしました。「大きい仕事をしていくというよりも、つながりを持って、横の人たちとつながって、自分たちで少しずつ何かを変えていこう」というような内容でした。その文章を読んで、大きいことをするとか、どういう会社に行くとかではなく、「共感する人たちと自分の思っていることを形にしていくことをしたい」という意志が明確になって応募したんです。

阿部:実際に竹渕さんは、「企画メシ」の後も色々な受講生と仕事でつながっていますよね。

竹渕:先日行われた『超十代 - ULTRA TEENS FES -』というイベントでも、「企画メシ」の同期の女性と一緒になりました。同じ感覚を持った人が半年一緒に過ごすと、こんな偶然もあるんだなと思いました。


最初は参加しようと思わなかったんです。

阿部:河田さんはどうでしょう?

河田:「企画メシ」のことはTwitterで知りました。すごく豪華な講師陣だと思ったのですが、最初は参加しようと思わなかったんです。

阿部:知らなかったです。

河田:当時、阿部さんと一緒に、ロックバンド「クリープハイプ」と森永乳業の粉末クリーム「クリープ」のコラボレーションの仕事をしていたじゃないですか。その時から、近くで阿部さんの仕事っぷりを見ていて、「この人どうかしてるなぁ」と。

阿部:え、どうかしてる?

河田:もちろん、いい意味です(笑)。「阿部さんのパワーの源は何なんだろう?」と思うようになったんです。阿部さんが世の中や周りの人たちにどのように関わっているのかを知りたくなって、応募したんです。


普段の生活では出会わない人たち。

阿部:それでは次の質問に移ります。「企画メシ」のはじめての講義、どんなことを思いましたか?

小林:「企画メシ」のセールスポイントのひとつは豪華な講師陣ですが、それだけでなく、参加者にも面白い人たちがたくさんいることに驚きました。竹渕さんの様な美容メーカーの方や、名古屋で瓦づくりを家業にしている方もいて、普段の生活では出会わない人たちと出会えたのが印象的でした。

竹渕:受講生の方々は、それぞれみんな熱い想いを持っていて、いい意味で変わった人が多かったですね。企画メシ初回の自己紹介の時も、いま自分が持っている危機感とか、受講するにあたっての思いをしっかりと言葉で伝えられる方が多かったです。アフター企画メシ(講義後の懇親会)で色々な方といくら話しても話題は尽きず、とても楽しかったです。「世代を越えたつながりがここからはじまるんだ」という期待感が溢れていました。

阿部:河田さんはどう思われましたか?

河田:最初のゲスト講師である佐渡島庸平さん(株式会社コルク 代表取締役)の「編集の企画」の回のことを今でも強く覚えてますね。初回ということもあり、みんな緊張していて、部屋の空気も張り詰めていて、どのように自分の企画が講評されるのだろうとドキドキしていた記憶があります。

阿部:とてつもなく濃い回でしたね。

河田:総じて、肯定的な講評をしてくださる講師の方が多かったのですが、佐渡島さんは「よくないものはよくない」とはっきり仰ってくださって、その日、打ちのめされて帰りました。

阿部:だからこそ気づけることも多かったりして。佐渡島さんには神様的な目線の高さと、ミトコンドリアのようにものすごく近い部分まで見る両方の視点があって、「上げ下げの高低差」にみんな圧倒されましたよね。竹渕さんは特に印象に残った講師の方はいましたか?


自分は何を大切にして仕事をするのか?

竹渕:「スポーツの企画」の澤田智洋さん(世界ゆるスポーツ協会代表)です。今後どのような仕事をしていくかという話で、「身の回りの人を幸せにすることを考える」という澤田さんの言葉にハッとしました。私はそれまで、企画をすることが好きだから、仕事に没頭していたのですが、「自分は何を大切にして仕事をするのか?」を考え直すきっかけをいただきました。「深く考えられる人の考えは違う」ということに衝撃を受け、自分の甘さを噛み締めながら帰宅した思い出があります。



阿部:僕は、澤田さんが講義で教えてくれた「思い出大量生産、思い出大量消費」という言葉が強く残っています。モノではなく、目には見えないけれども一緒にいてよかった時間とか、後で一緒に振りかえることのできる時間。つまり「思い出」をたくさん生産して、たくさん消費していくという考えを聞けて・・・心に刺さりましたよね。

阿部:小林さんの一番の思い出は何ですか?

小林:何だと思います?(笑)

阿部:当てますね。なんだろう。

小林:絶対にわかると思います。

阿部:わかりました!小林さんは、漫画家の浅野いにおさんの大ファンなんです。浅野さんが講師の回(「物語の企画」)の課題は、週刊スピリッツ(小学館)に連載されている「『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』についての課題で、その回の小林さんは、誰よりも浅野さんに刺さる企画を考えようという決意のもと、ものすごい企画書を仕上げてきました。浅野さんも嬉しそうにされていたことを覚えています。そして、講義後のアフター企画メシで、浅野さんの所に自分のMacBook Airを持って近づき、漫画のキャラクターを背面に描いてもらったということが一番の思い出です。

会場:(小林さん、MacBook Airを来場者に見せると…)おぉ~(どよめき)

小林:以上です(笑)。

阿部:実際あの時、どんな気持ちでした?

小林:大学時代に『素晴らしい世界』という作品を読んでから10年以上も好きでした。あの課題を提出する時ほど「送信」ボタンのクリックに緊張したことはありませんでした。しかも講義当日は発熱してしまうほど緊張して、昇天しそうなくらいでした。今でも思い出すと震えます。


ぶっちゃけ壁はある。けれども、乗り越えられる。

阿部:ぶっちゃけ、企画メシってどうでしたか?

小林:第一部で阿部さんと木村さんは、「講師の年代も比較的近いので講師との敷居は低い」と仰ってましたが、敷居はかなり高いです(笑)

阿部:おお、高かったですか?

小林:確かに年齢は近いので、そういう意味では低いです。でも、講師の人たちはすごい方々なんです。そういう意味で高い。けれども、3時間も同じ空間にいると、お互いに心を開いていくので、最後のアフター企画メシの時には、だいぶ低くなっているんです。これは、企画メシの講師の方々が皆さん謙虚だから。そのような方々を、阿部さんと木村さんが人選しているという点が、本当に素敵だと思います。まとめると、「ぶっちゃけ壁はある。けれども、乗り越えられる」です。

阿部:今のはポジティブな部分だと、するとネガティブな部分はどうですか?

小林:課題提出が大変なことです。受講生みんなが取り組む上に、阿部さんがモデレーターなのに、しっかり企画書を毎回提出するんです。だから、手を抜くなんてありえないという雰囲気はあります。そもそも手を抜いたら自分のためになりませんけどね。半年間も企画を提出し続けると、間違いなく力になります。

阿部:正直ほんとしんどくて…。でも、中学高校の時を思い出して欲しいんですけど、部活ってそうじゃないですか。疲れない日はほとんどないし、自分を追い込まないと強くなれない。「しんどくても、やりたい!」という方に参加してもらいたいです。やる気のある方が集まることで、すごくいい空気になると思うんです。竹渕さんはぶっちゃけどうでした?



本気で講評してくれる。生半可な企画は出せない。

竹渕:皆さんを脅すわけではないですが、やはり大変でしたね。でも、講師の方々が、本気で企画を講評してくれます。そのような状況だと、生半可な企画は出せないです。また、僕らが企画のクオリティを上げないと、「企画メシ」自体がつまらなくなってしまうと思います。そういった空気があったので、いいなと思うデザインを真似してみたり、フォントの使い方を工夫してみたり、参加者同士で切磋琢磨できたと思います。

阿部:ありがとうございます。それでは河田さん、お願いします。

河田:自分の仕事もあるのでやはり大変でした。それでも、三十人三十色の企画書を見ることができたという経験は大きかったです。

阿部:毎回の講義ごとに、参加者全員で企画書を共有しています。全部をまとめると約350本。これだけの数、想いを伝えるための企画書に目を通すと、やはり何かしらは得られますよね。それに講座の後のみんなの感想を、Googleドキュメントで共有しているのですが、講義の中で面白かった箇所や心にのこった言葉は人それぞれで、色々な見方があるんだと感じました。河田さん、積極的に感想書いてくださっていましたね。

河田:はい。感化されたことばを残していました。「せっかくだからやってみよう」とか。

阿部:『ラジオの企画』の回の講師である宗岡芳樹さん(ニッポン放送)の言葉ですね。「『せっかくだから』という言葉はすごく大切。『せっかくだから』というマインドでいると、一歩踏み出せる、チャレンジする気持ちになれる」と。


本当に部活動みたいな感じなんです。

阿部:それでは最後に、企画メシに申し込むかもしれない方に伝えたいことはありますか?

河田:覚悟して申し込んでください。

竹渕:体育会系の言葉ですね(笑)

河田:というのも、本当に部活動みたいな感じなんです。みんなで一緒に電車に乗って帰って。

阿部:そうなんですよ。僕、それが好きなんです。でもみんな、ちょっと無言なんです(笑)

河田:みんなその日の講義に疲れちゃったら、同じ車両でも少し距離を置いたりして。今思うと、楽しい思い出ですね。けれどもやはり大変なので、生半可な気持ちで参加するのはもったいないと思います。

阿部:竹渕さん、いかがですか。

竹渕:小・中学校でサッカーをやっていなかったのに、高校のサッカー部に入ったらいきなり才能が開花する方がいるように、普段企画を仕事としてやっていない方でも、本気で取り組めば、受講期間中に急成長すると思います。毎回の課題を「オープンコンペ」だと思いながら取り組んできました。2週間に1回、チームメイトとしのぎ合うというクセ付けはとても大事です。阿部さんは初回の講義で、「不器用でも、想いを言葉で伝えることが重要」と仰っていました。その言葉を、参加者同士が世代や職種を越えて実践できてよかったです。

阿部:ありがとうございます。それでは最後に小林さん、お願いします。

小林:1回あたり数千円でこれだけの講義を聞ける。体験ができる。こんなにコストパフォーマンスの高い講座はないと思います。書籍2、3冊と同じくらいの価格ですが、その10倍以上の価値はあると思っています。あとは受講生との横のつながりもできます。参加して損になることはひとつもないです。「企画とはなにか?」をまとめた冊子を、阿部さんが最後の授業でプレゼントしてくれて、いまだに読むとテンションが上がります。

阿部:すごいなあ。活かしてくれてますね!

小林:このように「企画メシ」という機会をどう活かすのも、自分次第だと思います。



<会場から質問をいただくことができました。一部をご紹介します。>

Q.「企画メシ」への参加前と参加後で、仕事に対する意識の変化はありましたか?


小林:土曜日の予定がなくなって寂しくなりました(笑)あとは、仕事をする上での話なんですが、いろんなジャンルの講師の方から学べたことで、さまざまな視点で物事を考えられるようになりましたね。

竹渕:阿部さんが、想いを込めた言葉で「企画メシ」の講師の方々を口説いていたり、やりたい仕事をみずからしたりしているということをお聞きしてから、「あの会社の○○さんと仕事がしたい」とか、「御社と弊社が協力すればこんな面白いことができる」という想いをしたためたメールを送ることで、何らかの可能性は生まれるというメンタルを持つことができました。それが、私の中で一番大きい変化です。

河田:会社で社長業をしていることもあり、お金の事が常に念頭にあり、新しいことにチャレンジするという視点が欠けているように感じていました。しかし、「企画メシ」で、お金よりも、情熱を企画という形にして表現している講師の方々の話を聞いて、もしやりたい企画が実現してお金がもらえなくてもあとで何らかの形で回収できるんじゃないかと思うようなマインドを持つことができました。もちろん、お金は大事ですけれども。



Q.「企画メシ」の受講生同士で、仕事以外での取り組みはありますか?


阿部:第一部でお話しした、食べられないけどおいしいおにぎり「Onigami」はそうですよね。「文化の企画」の課題から派生して、形になっていったんです。

小林:「Onigami」の活動では、核になっているメンバーがいます。そのメンバーからの報告の書き込みをすると、それ以外の受講生もFacebookに「こういうこともある」という書き込みをしたりとか、そういう関わり方をしてくれていて今も続いています。


Q.企画でメシは食えますか?


阿部:食えると信じています。証明するのがこの場だとも思います。そういう人を増やしていきたいというのがこの講座の目的です。僕は、企画する行為は幸福に向かっているはずだと考えています。内沼晋太郎さん(B&B「本屋の企画」講師)とも話したのですが、50、60、70歳になっても企画でメシを食っていけるかというと、それはとても難しいことでもある。だから自分が、どれくらい現役で企画し続けることができるかは意識した方がいいよねということを話していました。




以上で、プレイベントのレポートはおしまいです。
企画メシの雰囲気や臨場感が少しでも伝わりましたら嬉しいです。
「企画でメシを食っていく2016」エントリーはこちらから。
ライター:高橋淳一 @juninho_taka