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企画でメシを食っていく

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2017.04.06

「企画でメシを食っていく2017」プレイベントvol.1レポート(前半)


第一部:企画メシってなに?

いよいよ「企画でメシを食っていく2017」が5/6(土)に開講!


【4/10(月)】のエントリー締切を前に、雰囲気や内容をよりご理解いただくための「企画でメシを食っていく2017」プレイベントvol.1をみなとみらいBUKATSUDOで開催しました。


あいにくの雨にも関わらず当日は70名近い方にお越しいただき、企画メシの波が着実に広がっているのを実感しました。


第一部は「企画メシってなに?」をテーマに、企画メシはどんな場なのか、どういうところが良いのか、そもそも企画メシってなに、という対談を展開。
第二部は「企画メシってどう?」をテーマに、昨年企画メシを受講した2期生が加わってのクロストークを繰り広げました。そんなプレイベントvol.1を、対談形式のレポートでたっぷりお届けします!


木村 綾子:作家、本屋B&Bスタッフ BUKATSUDOコンテンツプランナー
阿部 広太郎:「企画でメシを食っていく」主宰 コピーライター、モデレーター


「企画メシ」は講師と受講生が境目なく高め合える場。

木村:昨年の「企画メシ2期」が去年の10月に終わって半年が経ったんですが…。実はその間も動いていたから休んでいた感覚はないですよね! 1期2期を見直しながら3期をどうするかと話し合ったり。私たちって、一年中企画メシのこと考えていますよね。

阿部:半年準備して、半年講座を運営してますもんね(笑)
僕が1回目の講義でオリエンテーションと『言葉の企画』を行い、それ以降はゲスト講師をお呼びして、講師の方のお話をうかがいます。事前課題の講評も含めて3時間くらいをかけて行います。ゲスト講師の方は30歳から30代後半の方が多く、それぞれの業界で第一線をひた走っている方々です。今回も12月から3ヶ月くらいかけてキャスティングを行ってきました。


木村:そういえばツイッターで、3期の企画メシは日本でもっとも活躍している“マ行”を集めたなというつぶやきがありました(笑)。漫画家のマキヒロチさん、ピースの又吉さん、映画監督の松居大悟さん、Rhizomatiksの真鍋大度さん、シティライツ法律事務所の水野祐さんですね。

阿部:偶然なんですけどね(笑)。
企画メシでは普段なかなかお話を聞けないような方のお話をとても近い距離で聞けますし、聞くだけじゃなく、自分の企画もぶつけられる熱い場になっています。


講義の終わりに次の講義の事前課題が出て、約10日程度かけて考えて、企画書を提出し、実際の講義で講評してもらいます。最後は「アフター企画メシ」というご飯を食べながらの交流会があり、講師の方はもちろん、受講生の間でもコミュニケーションを深めることができます。
僕も毎回課題を出しているんですが、忙しい日常の中でやるのは正直とても大変です。生半可な気持ちで取り組むと、しんどくなってしまうこともあるかもしれません。

木村:画像の吹き出しになっている、受講生の心の声。これって実は講師の方も同じだったんだってことを、後日談として話してくれる方が多いんです。「阿部さんと課題の打ち合わせをする段階で、受講生の熱意がどれほどのものかが伝わって。だから、出した課題に対して、自分だったらどう立ち向かうかってことを、仕事の合間にも気づけば考えてしまっていて…。自分のやっていることを客観的に見つめ直す新鮮な体験になった」って。そういう感想をいただくと、この講座は、”講師が受講生に与える”という一方通行な時間では決してなかったんだなと感じました。

阿部:印象深いのは、2期で講師をしていただいた小学校教諭の沼田晶弘先生が「この場にこれて本当に良かったよ」って言ってくれたこと。講師の方にも何かを持ち帰ってもらえているのがとても嬉しいです。
あと、講義のあと受講生に感想メモを書いてもらい、みんなで共有しているんですが、面白いのが、一人ひとり感じることが違うんです。ほかの人はこう感じていたんだ、というのも新しい学びになるんですよね。


思い出を共有できる仲間がいるからこそ。



阿部:約2年間、企画メシをやってきて、木村さんはどうですか?

木村:1期、2期通して、受講生も講師も違うのでこれまでの講義24回×30人×2期分の〈個〉があったなと思います。
BUKATSUDOで私たちが企画する講座は、“DO SCHOOL”という名前を掲げているんです。それはつまり“動き出すための講座”ということ。講座が終わったらさよなら、ではなく、そこから何かが”はじまる”、ような場作りをしていきたいと。「企画メシ」は手がけたプロジェクトの中で最も、この理想を体現してくれています。講座が終わっても受講生間で交流が続いていて、1期生と2期生も交流がありますし、さらにゲスト講師にアプローチして今一緒に仕事をしている人もいます。しかもそのどれもが、私たちの助言や仲介なしに気づいたら、”動き出していた”。”企画者の知らぬ間に”ってのが重要なんです。これまでたくさん企画をしてきましたが、これほど濃密な現場は初めてで、さらに3期が入ってくるとどうなるのか楽しみです。

阿部:いろんな人と出会って、刺激を与え合うことができますよね。



木村:男性15名、女性15名なので、本当に学校みたい。阿部さんは担任教師ですね(笑)。社会人になると、プライベートで出会って親しくなっても、一緒に仕事をするとなると、どうしても関係がビジネスライクに偏ってしまいますよね。それで得られる経験もあるけど、ぎこちなくなってしまう部分もあって。たとえばこれまで友人として打ち明けられてた恋愛の悩みは言えなくなっちゃう…とか。でも、「企画メシ」っていう場所は違いますよね。ときには公私入り混じった想いをぶつけ合って、ああだこうだ言って、いつの間にか答えらしいことが見つかって、じゃあこんな企画はどう?とかって話に、結局企画の話になってる。こういう仲間って、社会人になってからだとできないですよね。

阿部:部活みたいな感じがすごくいいなと思っています。企画メシが終わっても、みんなで集まって飲み会をしたりして。思い出を共有できる仲間がいるからこそ未来に向かって頑張れることが、本当に起こっているなと感じます。


人生を変える3時間。


木村:企画メシの1期生にはオフィスをシェアして一緒に働いてる人もいますよね。

阿部:想像を超えた展開が起こっていて。そんなふうになるなんて僕も思いもしなかったので、場をつくることの面白さや楽しさは計り知れないです。

木村:企画って怖いなって思ったのは、2期の時、ファッションの企画でアンリアレイジのデザイナー森永さんが講師として来たときに、感銘を受けすぎて、その後バンタンに入って服を作り始めた子がいて。本当に人生変えちゃったなって。

阿部:他にも、講師の方の話に感銘を受けて、その方の会社に転職を決めた人がいたり。

木村:人生を変えてしまう3時間ですね。


自分ができること、できないことを見極める。


阿部:木村さんは日々、下北沢の本屋B&BやBUKATSUDOで企画を考えて実際にカタチにしていらっしゃいますが、ひらめきをカタチにすることって大変じゃないですか?

木村:確かに大変ですが、でも「しんどい!出来ないもう無理!」って思ったことはあんまりないかもしれないです。”ひらめき”というのは、自分の中だけで起こることですよね。でも”カタチにする”段階になると、自分ができることって限られてくる。カタチにすることは人との関わりなしではできないと常々感じるんです。そのとき必要になってくるのは、誰の力をどう借りたら実現するかということを、具体的にイメージできるか。人との繋がりと、信頼関係が”ひらめき”を動かすんですよね。こう考えられるようになったら、大変だと思うことはなくなりました。30代に入ってからかなあ…。
これは企画メシの年齢設定にもつながることだと思うんですけど、私、20代は『なんでこんなに面白いこと思いついたのにできないんだろう』とか『カタチにはできたけど、想像してたような評価は得られなかったなあ』みたいなことで常に葛藤していました。20代は、自分は何でもできる、何にでもなれる、自分に自信がある歳。でも、私はその頃に、自分は何ができて、何ができないか、そういう現実と向き合うことができました。仕事仲間や現場が、いい意味で”自信”をへし折ってくれた。その経験があって迎えた30代は、とてもリラックスして仕事と向きあえています。いまのところですが(笑)。

阿部:20代に一生懸命もがいて、一緒に考える仲間ができた方が、その先の30代、40代を楽しく働けるのかもしれませんね。

木村:「こんなこと思いついたけど、私じゃできないから、あなたにあげます!あなたならきっと面白いカタチにしてくれると思うんです!」みたいに言えるようになると、さらに人脈が増えていくし、誰かが実現したことに刺激をもらえる。これも、企画に向き合う姿勢として大切なことなんじゃないかな。

阿部:できることとできないことを自分がわかるようになることで、固執することがなくなるし、だれかに委ねることで、新しい仕事が生まれたりしますもんね。


出会いは無限の可能性を生む。


阿部:企画メシでは受講して終わりではなく、そこで得たものから何かを新しくつくって いく人たちも多くいます。それらをいくつかご紹介します。 音楽の企画で尾崎世界観さんの『祐介』を読んで物語を書く課題があったのですが、その講義の後、受講生の物語を掲載した『私と祐介』というサイトを立ち上げました。 このWEBデザインも1期生と2期生が担当をして、ひとつの仕事としてこのサイトを作り上げることができました。



阿部:他にも、2期生のイラストレーターりゃんよさんは、クリープハイプのグッズデザインを担当することを実現させています。



阿部:こんなふうに自分達でどんどん動きはじめているんですよね。出会う事ってすごく可能性があることだなって改めて感じます。


企画とは、自分を知ること。



阿部:木村さんは企画ってどういうことだと思いますか?

木村:昨年もお話したように、企画とは、それがあることで、「何かと何かがつながる」「つながることで、自分がどうしようもなく変わってしまう」ものだと思っています。
加えて最近よく考えるのは、「集団的無意識」を追究していく作業なのかなということ。たとえば、同じ作品を見た10人の人が口をそろえて「感動した!」と言っても、感動の仕方や、どのシーンで何を感じ得たかってことは10人それぞれに異なりますよね。個人の経験をベースにしてしか、人はものを見れないわけですから。でも、突き詰めていけば、性別も年齢も、もっといえば時代まで越えて共有できる「何か」ってのがあるはずで……。それを仲間ととことん考えて話し合って、つながる「何か」、人を動かす「何か」を探っていくことが、企画なのでは、と。

阿部:企画メシの場で受講生のみなさんから出てくる「企画」。人によって見方や切り口が違って、時には受講生の方の企画に、どうしようもなく殴られたような衝撃を受けることもあります。僕自身も、モデレーターとして、ゲスト講師のみなさんの相手役をするだけでなく、この場に対して「何か」影響を与えたいと思い、課題を解いて、企画考えて、出し続けています。


参加者の方からいただいたご質問。


Q.講義で講師の方のアイデアを出す過程や企画をカタチにするプロセスを学ぶことで、自分の居場所の作り方も理解できるようになっていきますか?

阿部:企画の立て方の手法論を教えてくれる講師の方もいらっしゃいますが、僕は講師の方の生き方を聞いていけたらなと思っています。それぞれの講師の方がどうやってここまで辿り着いてきたのかとか、どういう選択をして今の仕事をしているのかとか。その講義の先に、受講生の人が本当に企画でメシを食っていけるのかは、その人自身によるところが大きいと考えています。チャンスをつかめる体質になったり、次なる仕事の匂いを嗅ぎつけられるようになったりとか、そういう企画でメシを食うイロハすべてまでは、この講義だけではわからないと思います。むしろ講義が終わった後に何をするかを考え、行動することができる人は、企画を生業にできると思います。



第一部のレポートは以上です。
後半は実際に企画メシを受講した2期生が登壇し、「企画メシってどう?」をテーマに、阿部さんとのトークセッションの中で話したリアルな企画メシストーリーをお届けします。後半はこちらです!



「企画でメシを食っていく2017」エントリーはこちらから。



ライター:本山香菜子(2期生)